患者様が主人公になれる専門的な整形外科診療を目指しています
整形外科部長 岡田文明
当院の整形外科では、それぞれの得意分野を持つ専門医とリハビリテーション科が連携し、 「一人ひとりの患者様が主人公となる医療の提供」を目指しています。
私たち医療従事者はあくまでも裏方というスタンスで、患者様の人生をより豊かに、より輝くものに演出するため、常に最新の治療技術とリハビリ テーションを学び続けているのです。
私たちが診療で最も重視しているのは、 「目の前の患者様が、何を求め、そして今後どうなりたいのか」
これを理解した上で治療計画を立てること。
治療の方法を選択する際も、まずは患者様・ご家族の希望を伺い、痛みの程度や進行具合、年齢、性別、活動性などを考慮しながら、その方にとってベストな治療を一緒に見つけていきたいと考えております。
診療の「3本柱」を軸に、
はりま地域に求められる医療を
- 体に優しい脊椎・脊髄疾患の治療
- 電気生理学的手法を駆使した診断
- スポーツ医による競技復帰支援
地域医療を守りながら、 世界レベルの先駆的臨床に挑んでいます
私たちのモットーは、大規模病院と同等の「医療の質」を保つこと。
当院は全89床と家庭的な規模で、はりま町は県内で一番小さな町であることから、大きな都市と比べて医療水準が低いと思われがちですが、決してそうではありません。特に、「電気生理検査」においては、アメリカ合衆国・アイオワ大学(University of Iowa)神経内科電気生理部門での学びを活かし、全国でも数台しか導入実績のない磁気刺激装置を活用し、検査を行っております。整形外科医の中でも、自ら神経の機能診断を行う医師は決して多くはないのですが、客観性の高い診断結果が得られる点や、重症度の評価がしやすい点、治療の効果予測・予後予測にも有用な点など、たくさん のメリットがあると感じております。
これからも、小さな町から全国・世界に誇れる医療サービスを目指して、
先駆的で質の高い整形外科診療に取り組んでいきます。
「手」の外科
「手の外科」とは、
肩から下の腕、肘、手首、手指など、上肢全体のケガ・障害などに対する専門の診療科のこと。
交通外傷や労働災害、スポーツ外傷などの外傷性疾患をはじめ、加齢に伴う変性疾患や先天性疾患、リウマチ、腱鞘炎、末梢神経障害など、対象疾患はさまざまです。手は小さな器官ですが、複雑かつ精密な動きをすることから、痛みや異変が生じると日常生活のあらゆる動作に影響を及ぼしてしまい、QOL(生活の質)を落としかねません。また、しびれる・力が入らない・感覚が鈍いといった場合には、脊髄疾患や末梢神経障害の可能性も考えられるため、早めの受診をお勧めします。
主な対象疾患
- 手指の骨折
- ねんざ
- 靭帯損傷
- 手指関節症
- ばね指
- 腱断裂
その他の疾患
- 野球肘
- 手根管症候群
- 手・肘の変形性関節症
- 肘関節周辺骨折
- 肘部管症候群
- など
「手」の外科で
大切にしていること
重大な病気が隠れているかもしれない「手指のしびれ」では、
数種類の検査を組み合わせ、原因を徹底的に追求しています
「手指のしびれ」に対しては、当科の強みである「電気生理検査」を行い、原因を徹底的に追究しています。もちろん、レントゲンやMRIなどの画像診断も行いますが、筋電図や神経伝導度検査を組み合わせることで、体のどこの神経が原因か、その神経はどのくらい痛んでいるのか、良くなるのか・ならないのかを判断できるため、とても重要な意味を持つのです。例えば、手指のしびれに悩まされる一番多い疾患は、末梢神経の障害の「手根管症候群」で、診断には電気生理 検査が大変有用です。当院での治療が難しいと判断される症例には、大学病院や高度専門病院へ紹介できる体制を整えており、特に、手の外科の診療実績が豊富な「やました整形外科(兵庫県加古川市)」と密な連携体制を築いています。
「足」の外科
「足の外科」とは、
足の骨・関節・腱・靭帯の外傷・障害および変形などに対する専門の診療科のことで、「関節の外科」とは、上肢の関節(肩・肘・手など)、下肢の関節(股・膝・足など)の外傷や変性、関節リウマチなどに対する専門の診療科です。
足や関節のトラブルは、平均寿命の上昇や、生活様式の変化などの影響を受けて近年増加傾向にあり、当院には小さなお子さんからご年配の方まで、幅広い世代の患者様の受診があります。また、足と関節はスポーツによる外傷・障害の発生率が高く、競技復帰の際は再発予防に向けたリハビリが必要な場合もあるため、リハビリテーション科との連携が欠かせません。
主な対象疾患
- 変形性足関節症
- 足関節・足部の骨折
- 靱帯損傷
- 外反母趾
- 扁平足
- アキレス腱障害などの
スポーツ障害
その他の疾患
- 強剛母趾
- 内反小趾
- モートン病
- 三角骨障害
- フライバーグ病
- 離断性骨軟骨炎
- 有痛性外脛骨障害
- 腓骨筋腱脱臼
- 足底腱膜炎
など
「足」の外科で
大切にしていること
負担が少なく回復の早い 「関節鏡手術」 に対応
足の外科および関節の外科では、より専門性の高い治療を提供するため、当院常勤医師の他、「しばはら整形外科 スポーツ関節クリニック(兵庫県明石市)」の柴原基医師を非常勤医による診療を行っています。柴原医師は、スポーツ・関節外科の専門医としての診療実績が豊富で、関節鏡手術にも執刀しています。関節鏡とは、細い管の先にレンズ・ライトが付いた医療機器で、関節周囲に5ミリから1センチの穴を数カ所空けて関節内を覗き、モニターを通して診察・治療を行うことが可能です。関節鏡手術は、従来の切開手術のように患部を大きく切る必要がないため、低侵襲で回復も早いというメリットがあります。
また、歩行時に痛みが生じやすい外反母趾、足底腱膜炎などの足裏の疾患に対しては、 リハビリテーション科や義肢装具士とチームを組み、足に優しい靴選びの指導や、オーダーメイドの靴・インソール(中敷き)の作成も承っています。
「肩関節」の外科
「肩関節の外科」とは、
肩周囲の痛み・変性や、腕が上がらないなどの可動域の制限、何度も繰り返される肩関節の脱臼など、肩関節のあらゆる悩みに対する専門の診療科のこと。
痛い肩を無理に動かしてしまうと悪化を招く場合もあるため、「ただの肩こり」と自己判断せずに、専門医による早期診断をお勧めします。また、野球・テニス・バレーボールなど、大きく腕を振る動作を繰り返すスポーツでは肩を痛めやすく、身体の使い方に対してのリハビリテーションも重要です。当院には、スポーツ分野に強みを持つ理学療法士も在籍しており、「一日も早く競技に復帰できること」「同じ症状を繰り返さないこと」を目標に、個別性を重視したリハビリプログラムを立案しています。
主な対象疾患
- 四十肩・五十肩
- 肩腱板損傷・断裂
- 靱帯損傷
- 肩関節周囲炎
- 肩関節唇損傷(反復性
肩関節脱臼・亜脱臼、
SLAP損傷など) - 変形性肩関節症
- 関節リウマチ
「肩関節」の外科で
大切にしていること
「四十肩・五十肩」の原因追及に力を注いでいます。
肩関節の外科では、当院の検査環境の充実を活かして、「四十肩・五十肩」の原因追及に力を注いでいます。一口に「肩こり」と言っても、痛みの種類はさまざまであり、痛む部分は関節なのか、首筋から肩にかけての範囲なのかで治療内容も異なります。患者様の中には、「病院に行くほどではない」と、検査や治療をせずに放置している方も見受けられますが、四十肩・五十肩とよく似た「肩腱板断裂」を発症しているケースも少なくありません。また、肩こりの原因が肩関節ではなく、頚椎(首の骨)や神経にある可能性もあり、きちんと原因を明らかにして的確な治療を受ける必要があります。夜眠れないほどの痛みや、慢性的な痛みが長く続いている方などは、お早めにご相談ください。
「脊椎・脊髄」首頚椎・腰椎の外科
「脊椎・脊髄の外科」とは、
頚椎と言われる首の骨から、胸椎、腰椎、仙椎、尾骨までの背骨(脊椎)の疾患と、それらの中にある脊髄神経の疾患に対する専門の診療科のこと。
当院では、専門医による「脊椎外来(予約制)」を開設し、主に手術目的の患者様に対するMRI検査および電気生理検査を行っています。電気生理検査では、一般的な神経伝導度(神経の伝わるさ)や、筋電図(筋肉の電気的変化)を調べるだけでなく、経 頭蓋や腰仙部専用コイルで磁気刺激を行い、運動誘発電位(MEP)や体性感覚誘発電位 (SEP)を用いた脊髄および馬尾の機能診断も行っていることが特徴です。近年では脊椎手術の低侵襲化が進み、小さな傷で出血量を抑え、術後の疼痛まで軽減できることから、早期回復・早期社会復帰が可能となっています。
主な対象疾患
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 変性すべり症
- 分離すべり症
- 頚椎症性神経根症
- 頚椎症性脊髄症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 後縦靭帯骨化症
(頚椎・胸椎・腰椎)
その他の疾患
- 腰痛症
- 弯症
- 腰椎変性側弯症
- 脊柱変形
- 脊椎圧迫骨折
- 後弯症
など
「脊椎・脊髄」の外科で
大切にしていること
安心・安全で低侵襲な脊椎手術を実現
脊椎の外科では、先駆的な治療技術を積極的に取り入れ、安心・安全で低侵襲な脊椎手術を実現しています。腰痛でお悩みの患者様に多い腰部脊柱狭窄症や腰椎すべり症などの手術では、最新の術式「低侵襲脊椎固定術(XLIF)」で対応。XLIFによる手術は切開が小さく、経皮的椎弓根スクリュー(PPS)という術式と組み合わせることで、背中の筋肉へのダメージを抑えることができます。XLIFとPPSの併用手術の最大のメリットは、「間接的除圧」と言い、骨を削ることなく間接的に神経の圧迫を軽減できる点にあります。また、術後の痛みも極力減らすため、顕微鏡などの手術器具を用いることはもちろん、スクリューの位置をリアルタイムでモニター上に表示する「脊椎ナビゲーションシステム」や、術中に神経の状態を確認できる「脊髄モニタリング」といった最新の手術支援機器を活用することで、安心・安全な手術を心がけています。
顕微鏡
手術
脊髄モニタリング
初めての手術でも安心なように、医師・看護師全員で手術前後のケアを行います。
不安なことがあればぜひご相談ください。
専門的な治療法
SCS / 脊髄刺激療法
脊髄に微弱な電気刺激を与えることにより痛みを軽減
脊椎の外科では、鎮痛剤やブロック注射で痛みが改善されない慢性的な腰痛に対し、地域のペインクリニックの協力を得て、「SCS(脊髄刺激療法)」を選択肢の一つにご提案しています。SCSとは、腰部脊椎狭窄症などの神経障害にお悩みの患者様の脊髄に微弱な電気刺激を与え、痛みの信号を脳に伝わりにくくすることで疼痛緩和を目指す治療法で、痛みの部位や症状に合わせて、電気刺激の位置・強さを調整可能です。
SCSは、直接脊髄や神経に触れない低侵襲な治療ですが、痛みの原因を取り除く治療ではありません。
ヘルニコア注入 /
椎間板内酵素注入療法
腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療法
近年、脊椎疾患の中でも患者数の多い腰椎椎間板ヘルニアに対して、「ヘルニコア注入(椎間板内酵素注入療法)」という新しい治療法が誕生しました。
1回の注射で高い治療効果が望めるため、入院期間は1日程度で、身体的侵襲が少ないだけでなく、医療費も抑えられることから、業界でも注目を集めて います。ヘルコニア注入は、すべての腰椎椎間板ヘルニアに適応になるわけではなく、専門医による診断と判断が必要です。
詳しくは、ご相談ください。
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